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2021/10/22

「改善はしている」と「改善している」のニュアンスの違い

今日の日経新聞を読んでいて気づいて考えたことについて。

自動車メーカーの人のコメント、部品不足による減産が続いていたが、生産が回復する見込みであるという文脈で、

車メーカー首脳は「半導体不足の影響は確実に改善はしてきている」と話す。

─日産、世界生産3割減 回復想定に遅れ:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211022&ng=DGKKZO76867030R21C21A0TB1000

この「改善はしてきている」という言葉について、単に「改善してきている」と言ったときと比較して、そのニュアンスにどのような違いがあるだろうかと考えた。

この文脈で自動車メーカーの生産状況を考えたとき、「改善してきている」を基準として「改善はしてきている」の改善具合はどちらが鋭いだろうか。私は「改善してきている」の方が鋭いと感じた。

この理由を考えた。「改善はしてきている」と言ったとき、言外に「一応改善はしてきている」というニュアンスが込められているのではないかと思った。

あるいは、「改善はしてきているが、~(好ましくない事柄)」というふうに、後に続けたい考えが何かあるとき「改善はしてきている」という言い方になるのではないかと考えた。(好ましくない事柄)の例としては、 「期待ほどではない」とか「実際の販売数が回復するまでには時間がかかる」などが思い浮かぶ。

この自動車メーカー首脳が実際に何を考えているかは分からない。ここまでの考えは穿ち過ぎである可能性も十分ある。

ただ、「は」があるかないかで受け取る側がどう感じるかが変化するというのは面白いことだし、扱う内容によっては恐ろしいことでもある。仮に発言者を攻撃する意図を持った人間がいたとすれば、その材料を与える結果となるかもしれない。

また、このようなニュアンスの与え方・感じ方は、日本語の母語話者でない人にとっては特に難しいことではないだろうか。いや、「は」の使い方は、日本語ネイティブにとっても難しいものであるということは、ここで指摘するまでもない。

明言はしないが、私はおそらくこの先文章や言葉の使い方に気をつけなければならない仕事に就くことになるだろう。ますます気を配りたい。

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